プロフィール
会長挨拶
会長 藤岡資正
(明治大学グローバルビジネス研究科教授)
この度、金沢大学にて開催された第29回全国研究大会にあわせて行われた理事会ならびに会員総会において再選いただき、引き続き会長を務めることとなりました。村松潤一前会長をはじめ、歴代会長が会員の皆様とともに築き上げてこられた本学会を、さらに発展させるべく尽力してまいりたいと存じます。
1997年の設立以来、本学会が研究対象とするアジアを取り巻く社会経済環境は大きく変貌を遂げてきました。こうした変化がアジア市場経済に及ぼす影響は極めて広範であり、研究および実務の関心も従来の専門領域を超えて拡大しております。本学会は、経済学、流通・マーケティング研究、経営学を基盤とする研究者と実務家がバランスよく参画する組織として、学問的伝統を継承しつつ、国際的・学際的アプローチを積極的に取り入れ、アジアの諸課題に向き合ってまいりました。
創立30周年という節目を迎えるにあたり、本学会の目的をあらためて見つめ直し、次の30年の発展に向けた基盤を整備し、その方向性を明確にするために、特に重要な課題が三つあると考えております。
第一に、国際化・アジア化の一層の推進です。本学会はこれまでもアジアを中心とする海外研究者との活発な交流を行ってきましたが、今後はそれを共同研究や共同シンポジウムの開催など、より実質的かつ継続的な取り組みへと発展させる必要があります。そのことにより、アジアの研究者や若手研究者にとっても魅力ある「国際学会」としての地位を確立してまいります。
第二に、学会基盤の強化です。本学会は多様な会員によって構成されていますが、国際学会としての規模はなお十分とは言えません。会員のさらなる拡充を図るとともに、学術界にとどまらず産業界や海外研究者へと裾野を広げ、交流の活性化を推進していくことが重要です。
第三に、社会との連携を通じた「開かれた学会」の実現です。アジアを取り巻く諸課題に実効性をもって取り組むためには、理論と実践の架橋が不可欠です。そのため、実務家や専門家との連携を一層強化するとともに、博士課程の院生のみならず、専門職大学院に在籍する社会人院生など、次代のアジアを担う世代にも本学会への関心と参画を促していきたいと考えております。また、社会人院生をいかに支援するかも重要な課題の一つです。
これら相互に関連する諸課題に対応するためには、アジア市場経済をフィールドとする多様なステークホルダーが価値共創を行うプラットフォームの構築が不可欠です。その具体化に向けて、グローバルアジア研究センター(GARC)、産学連携ワーキンググループ、若手の会を設置し、既存の委員会と緊密に連携しながら、学会全体として魅力ある知的交流の基盤づくりに取り組んでまいります。
設立以来受け継がれてきた本学会の良き伝統を大切にしつつ、変化する社会経済環境に即した革新的な取り組みを通じて、さらなる発展を目指してまいります。皆様のご支援とご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
概要
本学会はアジア市場に関する歴史、理論および実証的研究等を行い、また、関連諸学会ならびに諸機関との連携を図り、アジア経済ならびに世界経済の発展に寄与するとともに、学問の進歩に貢献することを目的とする。
設立趣意
今日、ASEAN(東南アジア諸国連合)さらには中国・韓国などアジアの地域・国々の経済発展は目覚ましく「21世紀はアジアの時代」といわれるようになって久しい。こうした発展は、これら地域・国々が、それぞれの外資導入政策とそれを背景とする輸出主導型工業政策を積極的に推し進めた結果である。とくに、計画経済のもとで閉鎖的経済体制をとっていた国々が開放経済体制に移行したことによるところが大きい。90年代以降中国では中国的社会主義市場経済を遂行するため自力更生を背景とする外資導入政策をとらざるを得なかったのである。これは、アジアにおける国際的市場経済体制の構築と拡大を急速にもたらしたといえる。一方、アメリカを中核とするNAFTA(北米自由貿易協定)の形成とEU(欧州連合)の東方拡大といった地域経済圏の充実化と拡大への動きは、最終的には、地球的規模での市場経済体制の確立を視野におくものというべきであり、アジアの地域・国々との積極的な関わりを深めようとしていることに注目すべきである。
このように、アジアの地域・国々の経済発展が急速に進む中で、アジア経済を研究する対象や方法は、従来には考えられなかった程に多様化してきている。その研究方法は従来型の現象分析に依存したアプローチだけでは通用しなくなってきているといえる。われわれがあえて設立しようとする学会では、できる限りアジアの地域・国々の歴史・文化などを深く考究した上で、アジアの市場経済に関する理論と実践を融合する学際的研究を志向していこうとするものである。もともと、アジアの地域・国々の多くは、それぞれが独自の民族・言語・宗教・文化をもって構成され、負の近代化の時代とともに長い歴史を辿ってきた複合社会地域である。したがって、市場経済体制といっても、これまで先進諸国によって培われてきた経済原則がただちに適用できる土壌を必ずしも持ち合せているわけではない。それゆえに、アジアの市場経済体制の確立には、多くの分野にわたって軋轢を伴う独特な問題があり、その解決には、なお知恵と経験と多くの時間が必要とされる。
このような状況の中で、アジアに関する全国的組織での学会は、すでに多数存在するが「本学会」の設立意図は、前述の研究方法に賛同する商学・経済学・経営学などの分野の研究者が学際的に力を合わせて、アジアを構成する国々におけるこれまでの経済発展の軌跡とこれからの成長などアジアの未来を見据えながら研究しようとするところにある。例えば、アジアの急激な市場経済化に伴って生じている社会・環境(ecology)問題などを含む広範な諸問題を、わが国からの視点に止まることなく国際経済全般の発展という視点から、アジア・欧米諸国の研究者との交流を図りながら、国を越えた叡智を集めて研究を進めていこうとするものである。多くの研究領域の方々のご賛同とご参加が得られれば幸いである。
パンフレット
アジア市場経済学会創立15周年記念パンフレット(PDFファイル)
